チンパンジーその22(アルツハイマー病)

アルツハイマー病は、1907年ドイツの精神科医アルツハイマーが発表しました。日本で1907年と言えば「第3次日韓協約」です。

 

アルツハイマー病の病理学的特徴は以下の3つです。

①「老人斑(ろうじんはん)」・・・アミノ酸が40~42個つながったアミロイドβ(ベータ)ペプチドが主成分。「老人斑」が多いと神経細胞が死ぬ。

②「神経原線維変化(しんけいげんせんいへんか)」・・・「タウ」というタンパク質がリン酸化して神経細胞内に蓄積したもの。

神経細胞が脳内で多数死滅していること。

アルツハイマー病の特徴的な構造物が「老人斑」「神経原線維変化」です。

 

アルツハイマー病、脳の老化→「アミロイドβペプチド」の分解が進まない→「アミロイドβペプチド」が蓄積→タウのリン酸化(蓄積)→神経細胞が死滅。

 

さて、チンパンジーを含め、サルはアルツハイマー病になるのでしょうか。

結論は、なっていません。

 

以下の観察結果からです。

○①「老人斑」については存在します。

△②「神経原線維変化」については一部の類人猿に観察されたようですが、まだ断定できません。

×③神経細胞の多数の死滅は確認されていません。

 

しかし、アルツハイマー病の前段階になっている可能性はあります。

30歳以上のサル(老齢期は25歳以上です)の海馬(かいば、記憶を蓄える脳領域)や大脳で「ソマトスタチン」「脳由来神経栄養因子」の生産量が著しく低下していることが観察されました。

①「ソマトスタチン」は脳では記憶に関わっています。

②「脳由来神経栄養因子」は神経細胞の生存に必要です。

これらの生産量の低下がどうアルツハイマー病と繋がるかと言いますと、アルツハイマー病の患者も「ソマトスタチン」「脳由来神経栄養因子」が著しく減少することが報告されているからです。

 

脳内に「アミロイドβペプチド(老人斑)」が蓄積すると、「脳由来神経栄養因子(神経細胞の生存に必要)」が減り、「ソマトスタチン(記憶に関係)」も減少します。

 

まとめます。

①「老人斑」はサルの脳に存在が認められています。

②「老人斑」の主成分は「アミロイドβペプチド」です。

③「アミロイドβペプチド」が蓄積すると「脳由来神経栄養因子」が減ります。

④さらに「ソマトスタチン(記憶に関係)」も減少します。

⑤この減少はアルツハイマー病の患者にも見られます。

⑥完全なアルツハイマー病ではないにしろ、前段階の症状を示していると言えます。